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建築トラブル

工事が遅延した場合、損害賠償請求できる?

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工務店と請負契約を締結して注文住宅を建てることになりましたが、工事が予定よりも大幅に遅れてしまい、本来、住み始める予定だった時期になっても完成せず、数カ月間仮住まいを続けることになりました。

自宅の完成引き渡しが遅れてしまった場合、損害賠償請求はできるのでしょうか。

請負契約とは

注文住宅を建ててもらうことを工務店に依頼し、施主が工務店と約束した工事代金を支払う契約は、法律上、請負契約とされています。

請負契約とは、当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約束する契約のことをいいます。

請負契約は、口頭でも成立することになっていますが、注文住宅の建設のような契約においては原則として契約書が作成されることになっています。

先ほど説明した請負契約の定義からも分かるとおり、工務店は、約束した内容の注文住宅を約束した期日までに完成して引き渡さなければならないという義務を負うことになります。

そうすると、注文住宅について完成が遅れ、引き渡された日が遅れた場合には、工務店が請負契約で約束した内容を守らなかった(債務不履行)ということになって、損害賠償義務を負う可能性があるということになります。

どんなときに損害賠償義務を負うのか

ただ、契約で定めた工事完成時期に引き渡しが間に合わない場合、その全てが工務店の責任となり、損害賠償義務を負担するということにはなりません。

工事の完成引き渡しが遅れた理由が工務店の責任による工事の遅延が原因である場合に、工務店の債務不履行となり、損害賠償請求ができるということになります。

例えば、工事の遅延が地震や豪雨災害のような天災による場合には、契約上、施主に対して工務店がその理由を示したうえで、必要と認められる工期の延長を求めることができることになっていることが多いかと思われます。また、施主の指示による設計・仕様変更、追加工事などが原因で工期が遅れた場合も、工期の遅延が工務店の責任によるものではないということになります。

したがって、職人の手配や材料の手配が間に合わなくて工事が遅れたであるとか、単純に工事に時間がかかってしまったなどの場合には工務店の責任といえ、債務不履行があるとして損害賠償請求が可能になります。

そのため、工事が遅れている場合にはどのような理由でどの程度遅れているのかを工程表で確認するとともに、工務店に確認しておいた方がよいかと思います。

損害賠償請求で何が請求できるか

工務店の責任で工事が遅延した場合には損害賠償請求することができると説明しましたが、どのようなものが損害であると主張できるのでしょうか。

法律的には、約束した期日までに建物が完成しなかったことで、支出することになった費用等が損害になるかと思います。具体的には、仮住まいの延長にかかる費用などの損害が典型的な損害といえます。後で説明する違約金の定めが契約書にない場合には、これらの損害を一つ一つ立証してその合計額を請求することになります。

もっとも、施主と工務店の間で請負契約を締結するにあたっては、遅延損害金に関する合意がなされているのが通常です。そのため、まずは契約書を確認することが必要になります。

利用されることが多い民間連合約款では「受注者の責めに帰すべき事由により、契約期間内に契約の目的物を引き渡すことができないときは、契約書に別段の定めのない限り、発注者は、受注者に対し、遅滞日数に応じて、請負代金に対し年10%の割合で計算した違約金を請求することができる」と定めています。この約款の約定を前提とすると、請負代金×10%×遅滞日数/365日が遅延損害金ということになります。

突貫工事に注意

このように工務店の責任で工期が遅れてしまった場合には損害賠償できることになりますが、工務店側としても施主から工期の遅れを原因として損害賠償請求されるのをおそれて、何とか間に合わせるために雑な工事をおこなってしまうおそれもあります。

そうすると、施主としては、無理に工期内での完成を強いるようなプレッシャーをかけた場合、長期的な視点ではむしろマイナスに作用することもありますので、その点は注意する必要があります。

もし、施主側として工期が多少遅れることよりもきちんとした工事を行ってもらうことを重視したいということであれば、工務店側にどの程度、どのような理由で工事が遅延しているのかの説明を求めた上で、場合によっては工期を延長する合意をするのも一つです。そうすることで雑な工事が行われて欠陥のある建物が建築される可能性を低くするということもできるかと思います。

なお、そのような工期延長の合意をした場合には、どのような理由で工事が遅延しているのかを明らかにしておくことが必要です。特に、工務店の責任による遅延ということであれば、後にトラブルになったときに備えてその旨を明確にしておくとよいといえます。また、いつまで工期延長するのかも明確にし、書面で確認しておくことが重要です。更なる遅延を防ぐためや更なる遅延の際の責任追及のためにも、書面で明確にしておくことが大事になります。

最後に

以上のように、工事が遅延した理由が工務店側にある場合には、損害賠償請求ができるということになります。

もっとも、それほど長い期間の遅延でない場合には、損害賠償できるといってもそれほど高額の請求ができないケースも多く、その場合には、建物の完成引き渡し後も工務店とは点検や修繕などで長いお付き合いになることや手抜き工事のリスクも考慮して、金銭的な請求にこだわらずに工期延長の合意をするのも一つかと思います。

当事務所では、工事遅延の相談を受けた場合、資料を検討した上で損害賠償請求が可能な事案かどうかを判断し、可能な場合には内容証明郵便を発送してその支払を請求するお手伝いをします。

それでも支払わない場合には、請求できる金額にもよりますが、弁護士費用を負担しても相談者さんにメリットがある場合には代理人として訴訟を提起しますし、金額的に弁護士費用を支払うとメリットが無いという場合には本人が訴訟提起するお手伝いをさせていただきます。

もちろん、まだ工事途中の段階でのご相談もあろうかと思いますが、その場合には工務店と大きなトラブルにならないようにどのように対処したら良いかについてアドバイスさせていただきます。

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