自宅の新築工事やリフォーム工事を工務店にお願いしてやってもらったものの、完成して引き渡しを受けて見ると、工事に不具合(瑕疵)があって修繕してもらう必要がでてきました。でも、そのような不具合(瑕疵)がある施工をした業者にまた修繕の工事をやってもらうのは不安だから嫌です。
瑕疵を他の業者に修理してもらい、かかった費用をもともと工事を請け負った工務店に損害として請求することはできるのでしょうか?
自宅の新築工事やリフォーム工事のように、ある仕事の完成を依頼し、その仕事の完成に対して報酬を支払うということを約束した契約のことを請負契約といいます。
そして、建物の請負契約の場合、その仕事内容に不具合、すなわち、瑕疵があった場合、①瑕疵修補請求、②損害賠償請求ができることになっています。
瑕疵修補請求権とは、文字通り、請負人に対して瑕疵を修補するよう請求する権利ということになります。
つまり、工事内容で不具合(瑕疵)があった部分について修繕を求めることができる権利ということになります。
したがって、工事に不具合があった場合、その工事を依頼した工務店に対して、修繕を求めることができるということになります。通常は、まずこの瑕疵修補請求によって工事の是正を求めるのが一般的です。
なお、どのような場合が法律上の「瑕疵」に該当するのかについて触れると、判例は「瑕疵」とは、取引において一般的に要求される水準で「通常有すべき品質・性能を欠いている」場合だけでなく、契約の際に契約当事者の間で予定されていた性質を欠いている場合も「瑕疵」に該当すると判断しています。
したがって、例えば、法律上は250mm×250mmの鉄骨で足りるところ、300mm×300mmの鉄骨を用いて建設をするという契約をしていたときに、請負人が、250mm×250mmの鉄骨を用いて建設をしてしまった場合にも、「瑕疵」に該当するということになります。つまり、法律上は問題のない施工であるため、「通常有すべき品質・正当のを欠いている」とはいえない場合であっても、契約当事者の間で予定されていた品質を欠いているとして「瑕疵」に該当することになります。
次に、瑕疵担保責任の追求の方法としては、損害賠償請求権の行使があります。
この損害賠償請求権は、瑕疵修補請求権の行使に加えて行うこともできます。たとえば、リフォーム工事の内容に不具合(瑕疵)があってケガをしてしまったというような場合には、単に修繕工事を行うだけでは損害を回復することはできず、ケガをしてしまった部分に対しても治療費の請求や慰謝料の請求などの損害賠償請求を瑕疵の修補に加えて行うことができることになります。
また、この損害賠償請求権は、瑕疵の修補に代えて行うこともできます。すなわち、工事を依頼していた工務店に対して修繕工事を行うことを請求するのに代えて、他の工務店に対して修繕工事を依頼し、その工事にかかった費用を請求するということもできるということになります。
不具合(瑕疵)があった場合の解決方法としては、特に、工務店の技術に問題があったり、または時間がかかりすぎるというような問題がある場合には、瑕疵修補請求権に代えて他の業者に依頼して修繕工事を行い、損害賠償請求権を行使することに意味があるといえます。
もっとも、注意が必要なのは、一般的には工務店等の請負人は、他の業者に依頼して修繕した工事費用の請求よりも、瑕疵修補の方が任意に対応してくれるケースが多いということです。その理由は、同じ内容の修繕工事を行う場合、他の業者が行った工事代金よりも、自分の会社で行った方が利益分が乗っていないだけ工務店が負担することになる修繕費用が低額になるのが一般的だからです。
そのため、瑕疵修補に代わって損害賠償請求を行う場合には、工務店がその損害賠償請求に応じてくれるのかを確認する必要がありますし、もし、応じてくれないという場合には、訴訟等の法的手続で回収する必要性が生じることを覚悟しなければならないということになります。
以上のように、建物の請負工事に瑕疵があった場合には、その工事を請け負った工務店に対して修繕を求めることもできれば、他の業者に依頼して修繕を行い、その費用を請求することもできることになります。
もっとも、注意が必要なのは、なかなか損害賠償請求には応じないケースが多いため、損害賠償請求に応じてもらえず、回収のために訴訟をしなければならなくなるリスクも考えた上で、瑕疵修補請求によって解決するか、それとも瑕疵修補に代わる損害賠償請求で解決するかを決断する必要があることになります。
当事務所ではこのような相談を受けた場合、まずは相談者がどのような解決を望んでいるのかを確認した上で、例えば、工務店に対して瑕疵修補を求める内容証明郵便を送付して、修繕工事の内容について示談を行ったり、または、他の業者に工事を行ってもらった上で、その費用を請求する内容証明郵便を送付するなどの対応を行っていくことになります。
それでも解決しない場合には、建設工事紛争審査会などの裁判以外の紛争解決機関による調停手続の利用や、裁判所での訴訟を検討して、手続を進めていくことになります。
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相談時に、事件をお受けする場合の報酬や経費などのご説明もいたします。その上でご希望の場合は依頼をしてください。持ち帰ってご検討いただいても構いません。
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