不動産の売買契約を締結した後、決済までの間で本当にこの物件を購入していいのだろうかと悩んでいます。悩んだまま物件を取得するくらいなら、違約金を支払って契約を解除したほうがよいのではないかと思いました。買主は違約金を支払えばどんなときでも契約を解除できるのでしょうか。
契約書に債務不履行の場合の違約金の定めがあるとしても、買主は当然に売買契約を解除できるわけではありません。
違約金とは、契約において、債務不履行があった場合に相手方に対して支払うことをあらかじめ約束する金銭のことをいいます。不動産の売買契約では、売買代金の10%~20%程度の金額を違約金とするような条項が置かれ、重要事項説明書にもその内容が記載されているのが一般的です。
民法では、違約金は損害賠償額の予定と推定されると定められています。したがって、不動産売買における違約金条項についても、原則として、損害賠償額の予定であると解釈されることになります。
では、損害賠償額の予定とはどのような意味でしょうか。
損害賠償額の予定とは、一方に債務不履行があった際に、他方が請求できる損害賠償額を予め決めておくことをいいます。そして、この金額を増減することはできません。つまり、当事者に債務不履行があった場合、その相手方は、実際の損害の大小にかかわらず、契約に定められた損害賠償の予定額を請求できることになります。
したがって、売買契約で賠償額の予定が500万円と定められている場合、実際の損害額が例え100万円であったとしても、500万円の請求が可能ということになります。逆に、実際の損害額が700万円であったとしても、500万円だけの請求しかできないということになります。
契約によってあらかじめ賠償額の予定を定めておくことは、損害賠償請求を請求する側にとっては、実際の損害額の立証をしなくてよいというメリットがあり、請求される側にとっては違約した場合の損害賠償額の上限を設定できるというメリットがあります。
では、契約締結後、買主の気持ちが変わり、違約金を支払ってでも契約を解除したいということになった場合、買主は違約金を支払うことで当然に契約を解除できるのでしょうか。
結論から言うと、契約書に債務不履行の場合の違約金の定めがあるとしても、買主は当然に売買契約を解除できるわけではありません。
違約金の定めは、契約の相手方に債務不履行があったときに請求できるもので、また、一般的には解除した上で違約金が請求できると定められています。
しかし、これは義務として定められているものではなく、権利として定められているものに過ぎません。したがって、例えば、買主が解除を希望しており、約束の期日に売買代金を支払わないという債務不履行があったとしても、売主としては契約解除して違約金を請求することもできれば、契約を解除せずに契約の履行、すなわち、売買代金の支払いを求めることもどちらも選択できるということになります。
要するに、契約の履行を求めるか、契約を解除して違約金を求めるかの選択権はあくまで売主側にあるということになります。
ここまで述べてきたとおり、違約金の支払いによる解除はあくまで売主の選択によるものということになります。
したがって、売主が契約の履行を請求してきた場合には、いくら買主に契約を解除したい、任意には売買代金を支払わないという気持ちであったとしても、法律上は契約の履行、すなわち、売買代金の支払義務は存在するということになります。
買主が売買代金の支払いに応じないということになった場合には、訴訟を提起され、判決により売買代金に遅延損害金を加えた金額を支払う義務が生じてしまうということになります。
以上のように、違約金を支払えば当然に解除できるということではありません。あくまで、売主側の権利として債務不履行解除して、違約金を請求できるということに過ぎず、契約を解除するかどうかは売主側の判断ということになります。
売買契約締結後に契約を解除するには、それが手付解除であろうが、違約金を支払っての解除であろうが大きな経済的損失となります。したがって、十分に検討してから慎重に契約することが一番重要になります。
当事務所では、契約前にご相談いただいた場合には、契約条項に問題が無いか、また、いつまで手付解除その他の解除が可能なのかについてアドバイスいたします。
また、契約締結後に解除したくなった場合には、住宅ローン特約による解除、手付解除など契約上可能な契約解除手段を検討して、一番損害が少ない解除の方法をアドバイスします。
違約金を支払っての解除しか検討できないようなケースでは、代理人となって契約解除及びその条件の交渉をお手伝いします。
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まずはお電話かメールでご予約をお取りください。法律相談をしても必ずしもそのまま依頼しなければいけないという事はありません。
弁護士が直接事情や状況を伺います。ご相談の際には内容をまとめたメモや資料などをお持ちになる事をお勧めいたします。相談のみで解決した場合はこれで終了となります。
相談時に、事件をお受けする場合の報酬や経費などのご説明もいたします。その上でご希望の場合は依頼をしてください。持ち帰ってご検討いただいても構いません。
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