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不動産売買トラブル

売買契約が解除されたときの仲介手数料はどうなるの?

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不動産の売買契約を締結したものの、決済までいかずに途中で売買契約が解除されたときの仲介手数料はどうなるのでしょうか?

売買契約が解除された理由によって仲介手数料の取扱いが変わってきます。売買契約成立後に解除した場合の仲介手数料の取扱いは媒介契約時の取り決めに従うことになります。

仲介手数料の発生時期

仲介手数料は売買契約が成立した際の成功報酬とされています。そのため、売買契約が成立すると仲介手数料が発生するということになります。これが仲介手数料の基本的な考え方です。

仲介手数料は、売買契約の成立によって発生しますが、その支払い時期については媒介契約にて取り決めることとなります。不動産売買契約締結時に50%相当額、決済・引き渡し時に残りの50%を支払うのが一般的です。

売買契約が成立して、無事に決済された場合、仲介手数料の全額を支払うことに問題はありません。では、売買契約が成立したものの、手付解除がなされた場合や、売主か買主のいずれかに債務不履行があって解除された場合、住宅ローン特約によって白紙解除になった場合など、決済までいくことなく契約が解除されたときにも仲介手数料は全額支払わなければならないのでしょうか。ケース毎に考えてみましょう。

手付解除の場合

不動産の売買契約時に買主から売主に対して手付金が交付されますが、売主は手付の倍額を返還すること、買主は手付金を放棄することで契約を解除することができます。

手付金には売主・買主の契約の意思を確認する意味があり、一度契約が成立しているため、原則として仲介手数料は発生するものと解釈できます。

ただ、手付解除は売買契約書に定められた権利であって、解除の可能性があることは念頭におかれていること、また、通常、仲介業者としても売買契約を成立させただけで業務が全て終了しているとはいえず、決済や引き渡しまで行って初めて取引が完了したといえることから、全ての業務が完了していない段階では、仲介手数料の全額までは請求できないとされることが多いです。

請求できる仲介手数料の割合はケースによることになりますが、50%から80%程度の仲介手数料となることが一般的です。

住宅ローン特約による解除の場合

住宅ローンの本審査は売買契約締結後に行われることになります。そこで売買契約書には、ローンの審査が通らなかった場合は売買契約を白紙解除することを取り決めた条項を盛り込むことがあります。これが「住宅ローン特約」です。

このような形態の契約は「解除条件付き契約」といい、条件(この場合は住宅ローン審査の棄却)が成立するとその契約が初めからなかったことになります。契約の成立がなかったことになるので、仲介手数料は発生しないという解釈が一般的です。

債務不履行解除の場合

債務不履行とは、故意または過失によって自分の債務を履行しないことを指します。例をあげると、売主の不注意による火災で建物が焼失してしまった場合や買主が売買代金を準備できなかったために売買代金を支払わなかったような場合がこれにあたります。仲介業務に落ち度がなければ、仲介手数料は支払われるべきと考えられます。

もっとも、この場合であっても、仲介手数料の全額を支払わなければならないかどうかについては、争いもあります。すなわち、既に説明したとおり、決済や引き渡しまでは行っていないため、仲介手数料の全額までは請求できないと判断されることが多いです。ケース毎に仲介業者が行った業務の内容や程度によって具体的に支払うべき割合が決定されることになります。

合意解除の場合

売主と買主の話し合いで売買契約を合意解除した場合は、一度契約が成立していることになるため、この場合も仲介手数料が発生するのが原則となります。もっとも、合意解除に至る経緯は様々であり、その解除の原因が何かによっても仲介手数料が発生するかどうかということが変わってくることになります。すなわち、仲介業者の詐欺行為や義務違反などの落ち度があった場合には、仲介手数料の支払いは必要なしと判断されることがありますし、逆に、仲介業者には何の落ち度も存在しないという場合には原則通り仲介手数料が発生することになります。

仲介手数料が発生すると判断された場合においても、手付解除や債務不履行解除のケースと同様に決済や引き渡しまでは行っていないため、仲介手数料の全額までは請求できないと判断されることも多くあります。

媒介契約書のチェックが重要

これまで説明してきたとおり、売買契約が解除された理由によって仲介手数料の取扱いが変わってきます。ただ、媒介契約も契約である以上、判断の基準となるのは仲介業者との間で交わされる「媒介契約」の内容です。売買契約成立後に解除した場合の仲介手数料の取扱いは媒介契約時の取り決めに従うことになります。

媒介契約を締結する際に契約の内容をよく確認しなければ、仲介手数料に関するトラブルに発展する可能性が格段に高くなります。媒介契約の内容が不利な場合には他の業者に依頼することを検討した方が良い場合もあります。

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