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遺言・相続問題

遺留分減殺請求の方法

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遺留分減殺請求の第一歩は「遺言の確認」と「相続財産の調査」から

遺留分減殺請求をする前に遺留分を請求する際には、まず遺留分が本当にあるのか明確にする必要があります。

そもそも、遺言によって、一見極端な相続が指定されているとしても、遺留分を侵害しない範囲ならば、そもそも遺留分の減殺請求ができないことも知っておかなければならないでしょう。あくまで遺留分とは相続財産すべてから一定の割合の返還を求めることができる制度で、特定の相続人に莫大な相続財産が遺贈されたとしても、無条件に取り戻せるものではないのです。つまり、まずは遺言を確かめ、自分の遺留分が本当に侵害されているのか、よく調べなければなりません。

相続人によって遺留分の割合は変わるということもよく知っておきたい点です。また特定の相続人に遺贈されている場合では、相続財産を計算するときに、その相続人も人数に入れて考えます。相続人の調査は、戸籍を取り寄せて、慎重に行わなければなりません。

相続財産の範囲を確定させるのも、前提として大事なことです。遺留分は「相続財産の*割」という方法で計算するので、相続財産の範囲と額がはっきりとしていなければ、遺留分も決めることができないのです。相続財産は、単純な現金や預貯金ならわかりやすいですが、たとえば不動産等は、書類等を探して調べなければならない場合もあります。

遺産を確定させるための手続きが必要な場合も

財産の範囲、すなわち何が遺産にあたるのか。この点について詳細がわからなかったり言い争う部分があったり場合には、遺産分割を進めることはできません。そのため、何が遺産にあたるかということは、早い段階で確定させなければならないのです。関係者間の協議で確定できない場合は、「遺産確定の訴え」を起こす必要があります。もし仮に遺産分割審判は確定していても、遺産の範囲については別に後日、訴訟で争うことができます。

遺留分減殺請求の権利を行使する

遺留分を請求する方法を、法ははっきりと規定していません。特別、このような形式でなければいけないということがないのです。そのため、まず遺留分を請求したい人は、その権利を行使する旨を、遺留分を害す人に対して通知、意思表示しなければなりません。

そして、通常は遺留分を請求する人と、遺留分を害する人との間で、まずは裁判外での交渉をすることになります。「遺留分を請求したい」という意思表示は、口頭ですることも可能ですが、時効や後の立証問題にも対応できるよう、内容証明郵便を利用する方法が推奨されます。

相手方との交渉は書面にしておく

裁判外での交渉は、後から言った言わないの話になると厄介なので、その内容を録音や議事録を作成するなどの方法で、形として残しておくべきでしょう。この時点で話がまとまった場合は、その内容を必ず書面にしておいてください。できれば公正証書で、より明確な形で残しておきます。そうしておくと、後の紛争に対する、有利な備えになります。

裁判外での交渉がまとまらない場合は家裁に申し立てる

話し合いで解決をみないときには、家庭裁判所に遺留分減殺請求の申立てを行います。すぐに裁判を希望する場合でも、基本的には調停前置という原則があるので、まずは調停から、という順番にしましょう。というのも、調停を飛ばして訴訟にしても、受理されることはされますが、結局、裁判の中で調停に付されることが多いからです。

遺留分減殺調停は、相手方の住所地を管轄する家裁に申立てを行い、開始します。調停では裁判官か、あるいは裁判所が選任した調停員が間に入って話し合いを進めます。その際には、基本的に相手方と顔を合わせて話し合うのでなく、調停員に交互に事情を聴取されるので、特に相手に遠慮することなく自分の主張したい内容を伝えることが可能です。

調停の中で話し合いがまとまれば調停調書が作成されます。「調書」といっても、作成されれば確定審判と同様に法的効果が発生するので、その点はよく理解しておきましょう。

調停でも決着がつかない場合は訴訟手続きを進める

遺留分減殺請求の調停は、もし調停がまとまらない場合でも、遺産分割調停とは違って自動的に家事審判には移行しないことになっています。つまり、決着をみなかった調停に不満があり、なお遺留分を請求したいなら、自分から訴訟を提起する必要があるのです。

訴訟の流れですが、まずは訴状の作成からです。作成した訴状を、被相続人の最後の住所地を管轄する地方裁判所または簡易裁判所に提出します。請求金額が140万円を超える場合は地方裁判所に。請求金額が140万円以下の場合には、簡易裁判所に訴えを提起するのが通常です。

裁判所に訴状が受理されると、双方、期日に出頭し、調停と異なって当事者(もしくはその代理人)と裁判官が法廷に集まって、主張、立証などを、原則書面により行います。この書類については、当事者が選び、裁判所は提出された書類にのみ基づいて、判断します。すなわち、「どのような書類を提出するか」という一点は、きわめて大事なことです。

裁判でも、裁判官が目指すのは基本的に「和解」です。しかし裁判上で「和解」に至った場合には、やはり確定判決と同様の効果が発生するので、簡単に考えてはいけません。

和解に至らなかった場合には、提出された証拠から、判決が下されることになります。

判決にも不服があるなら控訴、上告することも可能

裁判所から出た判決に不服がある場合、必ずしもそれを素直に受け入れることはありません。二週間以内に控訴すれば上級審で同じ手続きをし、もう一度判決を求めることができます。その判決にも不服があれば、上告し、最上級審に判決を求めることも可能です。

相手が遺留分を支払ってくれない場合は――

確定判決や和解によって遺留分の請求が認められた場合でも、相手が支払いに応じてくれないことも珍しくありません。その理由は、単純にお金がないとか、判決に納得できない等様々です。この場合は、別途、民事執行の手続きを進めていかなければなりません。

遺留分の交渉から訴訟まで鎌倉総合法律事務所にご相談ください

この通り、“最低限保障された額”とも言われるの遺留分を求める手続きも容易ではありません。交渉から、果ては訴訟、支払ってくれない場合は民事執行の手続きまで、遺留分を請求する側は何かと煩わしい思いをさせられます。そして、多くの場合、遺留分を請求する相手と、請求される側との関係は、好ましいものではないのが一般的です。

その件について第三者であり、法のプロである専門家に頼るのが、良い方法でしょう。

裁判まで発展することを見据えて対応します

遺留分を請求する場合、話がすっと通るということは、むしろまれです。残念なことにそのほとんどが、裁判まで発展してしまいます。初期の交渉から、なるべくお互いの感情を排して、もちろん頭の中には裁判を見据えた法的な主張・話し合いが必要です。不利な言質を取られて後から面倒にならないように、お早めに専門家までご相談ください。

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